(⓵から)
財界人の大倉喜七郎が創立資金を出し、文子が丁寧に説得して回り、方円社、〇聖会、中央棋院を一つにまとめて、家元制から完全に脱却した。棋士を総括する統一組織、日本棋院の創立に尽くす。財界、政界と囲碁界を結び、融和させるという役割は、人望の厚い文子以外にはできなかったことだろう。それでいて手柄は男性たちに譲り、大正13年の日本棋院創立を見届けると、自ら現役を、その後は後進の育成に打ち込んだ。特に女性の囲碁普及には熱心で、才気のありそうな少女を見かけると、「囲碁を習ってみませんか」と声をかけて回ったという。門下からは、伊藤友恵、大山寿子、杉内寿子ら、数多くの女性棋士を輩出している。
2018
03Jun